星の見える東京
日記

ほんの少し春が怖い、とおもう

 2017年 春 狛江市内 撮影 K

まだ寒さは厳しいものの、この数日で日差しや風にほんのりと春が香るようになった。

あと一月もすれば多摩川沿いには菜の花が咲きはじめると思う(多摩川の菜の花 2017.3.20)。そして、そのあとにはいっせいに桜が咲き乱れる。

子供の頃の春は、「咲く」季節だった。でも、年齢や傷口とともに春は「散る」季節になってゆく。

春のやわらなかな風も、心地よさとともに、閉じていた心の扉をふっと開けようとする。

だから、ほんの少し、春が怖い。ざわざわとした不安と、春の悲しみに飲み込まれそうになる。

紀友則の春を詠んだ和歌に「ひさかたの光のどけき春の日に 静心(しづごころ)なく 花の散るらむ(古今集)」という歌がある。

こんなに光ののどかな春の日に、なぜ桜は慌ただしく散っていってしまうのだろう、という春の優しさと儚さを歌ったものだ。

春は、昔のひとにとってもきっと両面の際立った季節だったんだろう。

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