星の見える東京
日記

小田急ロマンスカーで思い出すこと

小田急ロマンスカー 2018年、6月 黄昏どき

幼い頃、僕は小田急ロマンスカーが好きだったそうだ。

小田急ロマンスカーは、小田急線を走る特急列車のこと。

この電車は、地元には走っていないので、子供の頃の僕は、図鑑やテレビで見たのか、旅行先で乗ったのか、あるいは神奈川に住んでいる親戚の家に行くときに見たのかもしれない。

母は、その当時の僕のおぼつかない口真似をしながら、「おだきゅうろまんしゅかー、おだきゅうろまんしゅかー」と言っていたんだと折に触れて語った。

僕自身は、そのときの感覚を全く覚えていない。僕は一体なぜ他の電車ではなく、「小田急ロマンスカー」が好きだったのだろう。

外観のかっこよさに惹かれたのか。それとも、「小田急ロマンスカー」という響きが気に入ったのだろうか。

思い出せそうな気もするが、もう一つ記憶に指先が届かない。

大人になった僕は、母の声を通して蘇ってくる「おだきゅうろまんしゅかー」という響きと、一抹のもどかしさを抱きながら、黄昏どきの走り去ってゆく小田急ロマンスカーを眺めていた。

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