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多摩川にさらす手づくりさらさらに何ぞこの児のここだ愛しき

狛江の多摩川の土手を調布方面に向かって歩いていると、途中、道路沿いに「万葉歌碑」という標識が目に入った。矢印は、住宅街の奥を指している。閑静な住宅地の景色と、「万葉」という古めかしい言葉の組み合わせに引き寄せられるように矢印の先に進んでいくと、ひっそりとした狭い空き地に、「万葉歌碑」が建っていた。

歌碑には、「多摩川にさらす手づくりさらさらに何ぞこの児のここだ愛しき」という歌が刻まれていた。この和歌は、万葉集にある一首で、作者は不明とのこと。現代語訳すれば、「多摩川にさらしている手作りの布のように、ますます、なんてこの子はこんなにも愛おしいのだろうか」という意味になる。

布を作るときの工程に、白くするために水洗いしたり日光にあてるというものがあり、そのときの布のように、この子はなんて愛おしいのだろう、という歌で、この愛おしい児が、女性のことなのか、それとも子供のことなのか、というのは諸説あるようだ。この歌が狛江で詠まれたものと伝えられていることから、多摩川の近くに石碑が建てられている。歌碑は最初、一八〇二年、多摩川のほとりに建てられたものの、洪水によって流失し、その後、一九二三年に多くの尽力のもと、新しい碑が建てられることとなった。

僕は、万葉歌碑のあった場所から、この歌の舞台になった多摩川の河川敷に戻って座った。ああ、ずっと流れているんだな、もうすぐ今年も終わりだな、などと思いながら、流れる川をしばらく眺めていた。

狛江付近の雑貨屋

下北沢や新宿などに出れば、おしゃれな雑貨屋さんもたくさんあると思う。でも、そこまで行くのは疲れるし、人混みが苦手な自分としては、狛江周辺にあるお店に行くことも多い。無印良品も好きな一方で、決して大きくないお店の心地よさや栄養もある。

一丁目一番地 狛江

僕が行く雑貨屋としては、たとえば、狛江駅のすぐ近くにある、一丁目一番地という生活雑貨屋さんがある。

狛江駅から徒歩一分で、エコルマホールの裏手、市役所近くの通りに面した大きな十字路の一角にある。店の広さはそれほどではないものの、箸や茶碗といった料理雑貨、服、小物インテリア、ポストカードなど幅広い世代を対象とした雑貨がある。

so many years 狛江

それから、so many yearsという若者向けの雑貨屋さんも、見ているだけで楽しい気分になる。

狛江駅と直結した小田急マルシェ狛江内にあり、照明や収納家具といったアンティーク調のインテリアから、革製品やちょっとした文房具類など洋風なアイテムが揃っている。普通に文房具の類が欲しい場合は、so many yearsの隣の本屋にもペンやノートなどが置いてある。 *残念ながら、二〇二三年七月で閉店となる模様。

ハルカゼ舎 経堂

文房具類で可愛いものを扱っているお店だと、狛江駅から小田急線で十分ほどの経堂駅にある、ハルカゼ舎も好きなお店だ。

雰囲気が可愛らしくおしゃれな雑貨屋で、経堂駅北口のすずらん通り商店街を、しばらく真っすぐ進むと左手にある。小物雑貨や文房具が中心で、作家さんの作品や輸入もののヨーロッパの紙袋など一風変わった素敵な商品が並んでいる。大きなプレゼントというよりは、ちょっと嬉しい贈り物や、可愛い日用品として使いたい物がたくさんある。

Sunny days 向ヶ丘遊園

アンティーク、ハンドメイドの雑貨屋さんなら、小田急線沿いの向ケ丘遊園駅すぐ近くにSunny daysという個人で営んでいる小さなお店もある。

服や小物雑貨が揃っている。こういう店主さんの選んだもので溢れているお店は、なんだか心も温かくなる。僕が行ったとき、お客さんが、贈り物用にお店のものを買っていた。優しさしかない空間だった。