南の空に、赤い星が見えた。きっとあれが火星なんだろうなと思う。マンションのベランダで望遠鏡らしきものを使って眺めている人もいた。星に近づこうと少しだけ歩いたが、一向に辿り着けそうな気配がしなかったので、しばらくその場でぼんやりと、遠くに瞬く赤い星を眺めていた。
眺めながら、ふと、いつか火星に人類が移住することもあるのだろうか、と考えた。そして、すでに多くの人類が移住して、そこで生活を送っていることを想像しながら、その赤い星を眺めてみたら、なんだか少し悲しい気持ちになった。
南の空に、赤い星が見えた。きっとあれが火星なんだろうなと思う。マンションのベランダで望遠鏡らしきものを使って眺めている人もいた。星に近づこうと少しだけ歩いたが、一向に辿り着けそうな気配がしなかったので、しばらくその場でぼんやりと、遠くに瞬く赤い星を眺めていた。
眺めながら、ふと、いつか火星に人類が移住することもあるのだろうか、と考えた。そして、すでに多くの人類が移住して、そこで生活を送っていることを想像しながら、その赤い星を眺めてみたら、なんだか少し悲しい気持ちになった。
連日連夜の暑さで、すっかり体力を消耗している。日中はもちろん、夜も熱帯夜が続く。今日も、三十五度近い猛暑のなかで多摩川沿いを歩いていたら、遠くから、うぐいすの鳴き声が聴こえてきた。うぐいすは、一度だけでなく、何度も繰り返し鳴いていた。
うぐいすの別名は「春告鳥」。春の到来とともにさえずる鳥で、うぐいすが夏に鳴くという印象がなかった。たぶん、初めて聴いたと思う。夏の気怠い空気と、うぐいすの鳴き声は、どこか不調和な印象だった。
うぐいすの「ホーホケキョ」という美しい鳴き声はオスのもので、繁殖期のメスに対するアピールのために鳴く。また、縄張りを守る意味合いで鳴くこともあるそうだ。繁殖期は、春から夏にかけて、ということなので、夏にうぐいすが鳴くのは、それほど不思議なことではないと言う。これまで意識していなかっただけなのかもしれないが、このうだるような夏の暑さとうぐいすの鳴き声の組み合わせが、僕にはちょっと斬新だった(山奥などでは割と聴けるそうだ)。
ちなみに、うぐいすは、渡り鳥ということでもないとのこと。季節が終わるとどこへ姿を消してしまうのだろう、と思っていたが、別に姿を消しているわけでもなかった。季節が変わると、「ホーホケキョ」というさえずりから、「チャッチャッ」という地鳴きに変わるだけで、彼らは草むらなどで普通に暮らしているのだと言う。