東京・狛江の津波と噴火
狛江の自然災害といえば、多摩川の洪水がもっとも要注意。実際、数十年前にも、堤防が決壊し、多摩川が氾濫した「多摩川水害」があります。

一方で、地震という点では個人的にはそれほど大きな心配はしていません。
さすがに東京直下型地震の震源地が近くなら大災害に繋がるでしょうし、備えあれば憂いなしですが、相対的に見たら、狛江の地盤は結構強いほうなのではないかと思っています。
データで見ると、東京都内では、地盤が弱いほうに狛江は分類されるようですが、住んでいるかぎり、どうも隣町などと比較して(実際に住んでいるひとと話しても)、地震の際の揺れが一段階弱い印象を受けます。
先ほども言ったように震源地にもよりますが、そのことを考慮に入れても、揺れない、という感覚が強く、狛江に長く住んでいる年配の方と以前お話させて頂いたときも、「狛江は地盤が固いほうだと思うよ」と仰っていました。
また、この方曰く、1923年の関東大震災のときも、狛江は被害が小さく、被害の大きかった地域に物資を輸送する役割を担ったとのこと。
その地震のときの様子は、狛江市役所のホームページで公開されている記録にも残っています。
覚東の高木雄一さんは中学の始業式を終えて下校の途中であった。朝からの雨は上がって青空ものぞいた。金子(京王線の駅、今のつつじケ丘)から歩いて家が見えるところまで来たとき、ぐらっときた。
傘を杖にして頑張ったがこらえきれない。草をつかんで寝転んでしまった。土が割れてもうもうと土煙が上がった。岩戸の秋元重光さんは妹さんと相之原(岩戸の八幡神社の東の小字)に桑摘みに行っていた。
籠いっぱいになったので帰ろうとしたとたんに、川向こうからゴーッとえらい音がしてきた。同時に黒い煙がもくもくと舞い上がる。畑がゆれだし、籠を背負って歩くどころではなかった。よろける足で家にたどり着く。母親は必死になって傾いた蚕棚を押さえ付けていた。
蚕は上簇直前まで育っていた。多摩川では水面が盛り上がり、びっくりした魚が河原にとび上がって跳ねた。道路や水田ではあちこちで段差ができた。
地下水を押し上げて、青い砂交じりの水が吹き出したところもある。土蔵の壁が崩れ落ちたりはしたが、倒壊した家は全村で一軒もなかった。炊事どきにもかかわらず出火もなく、「人畜死傷ナシ」の状況であった。
当時と今では家の構造や密集の度合いなども違うのでしょうが、東京と神奈川で10万人以上の死者・行方不明者を出した関東大震災で、東京と神奈川のつなぎ目辺りにある狛江が、出火もなく、「人畜死傷ナシ」というのは、結構不思議なことなのではないでしょうか。
いずれにせよ、実体験だけでなく、こうした点からも、地震のリスクについては、他と比較して狛江が特別高いとは言えないのではないか、と考えています。
と言っても、繰り返しになりますが、震源地にもよりますし、あくまで主観なので、備蓄と避難所のチェックは行いましょう。
ちなみに、以下が狛江市の首都直下型地震(狛江は震度6弱)の被害想定です。
出典 : 首都直下地震等による東京の被害想定(災害に対する知識)
津波
それでは、地震の影響で生じる津波の被害想定は、どういった状況でしょうか。
狛江市の和泉多摩川沿いを流れる多摩川が繋がっているのは、東京湾です。もし東京湾で津波が起きたら、果たして狛江まで届くのでしょうか。
和泉多摩川駅から、東京湾の河口までの距離は、だいたい20kmちょっとあります。
東日本大震災のときの津波の内陸到達距離が最大で6kmなので、距離的には、じゅうぶん離れていると思います。
狛江の災害担当の方も、狛江への津波の影響について次のように述べています。
Q.狛江市は津波の影響は大丈夫ですか?
海抜20m、東京湾からも距離があるので、津波は大丈夫だと思います。
狛江における、津波の影響は、それほど心配はないでしょう。
噴火
自然災害で、地震とともに警戒したいのは、津波と、もう一つが噴火です。
狛江に影響を及ぼす可能性のある噴火としては、箱根山と富士山の噴火が挙げられるでしょう。
噴火のうち、この距離で考えられる被害は、降灰です。
以下は、箱根と富士山の噴火によって考えられる降灰の被害想定マップです。
画像 : 箱根山大噴火への覚悟を かつて首都圏も襲った火砕流と火山灰
画像 :「いずれ100%発生」富士山が噴火すると細かい火山灰で通信施設がダウン、東京は都市機能を喪失し、在日米軍は撤退の可能性も
どちらの噴火の可能性が高いかというのは、自然のことなので、究極的には、どちらも明日生じても不思議ではない、という話になるかもしれませんが、一応、差し迫ったものとしては富士山の噴火が挙げられると思います。
江戸時代に起きた富士山の噴火(宝永噴火)の際には、横浜に10cm、江戸に5cmの火山灰が降り積もったといいます。
火山灰は、季節によって風向きも変わるので一概には言えませんが、東方に流れてくる場合は、上記のような被害想定が考えられます。
噴火から、だいたい3時間ほどで、火山灰は東京まで到達するとのこと。
江戸時代と比較し、現代の富士山噴火がとてつもない被害になると推定される理由として、ハイテク化した都市社会が挙げられます。
コンピュータも火山灰で被害を受け、通信機能もダウン。その他、電車が止まったり、停電や水質悪化、火山灰による健康被害も想定されます。
こうなると、もう備蓄をしっかりしておく、という以外に備えようがない気がしますが、あとは、さいたまや千葉のほうに避難するひとも増えるのでしょうか。
以上、狛江の津波と噴火の被害について簡単にまとめてみました。