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赤と白の彼岸花

多摩川の土手に、彼岸花が咲いていた。彼岸花は、昨日までなかったはずなのに突然赤々とその姿を現すのでぎょっとする。昔の人々が不吉だと感じたのもわかるような気がする。

彼岸花という名前は、ちょうど秋のお彼岸の頃に咲くから、というのが由来のようだ。彼岸花には、その他に数々の別名があり、仏典に由来する有名な曼珠沙華マンジュシャゲ以外にも、「死人花シビトバナ」「地獄花」「幽霊花」「毒花」「痺れ花」など、毒性があることも相まってか怖い異名がたくさんある。また、彼岸花は、雨上がりにいっせいに咲くという特徴も持っている。雨上がりに咲くので、「雨後の彼岸花」という言い方もあるようだ。

それから、普通、彼岸花は赤色が際立つ花だが、ときおり、白い彼岸花もある。この白い彼岸花は、赤色の彼岸花と、黄色い彼岸花「ショウキズイセン」の雑種だと言う。

白い彼岸花は、誰かが植えたのか、偶然巡り合わせで咲いたのだろうか、多摩川でも赤と白が並んで咲いている光景も見られる。

ちなみに、そのちょっと前には、金木犀の匂いもうっすらと香るようになってきた。夜風が涼しく、りんりんと虫が鳴き、金木犀が香り、彼岸花が咲く。多摩川沿いも、この街も、徐々に秋の装いを帯びてきた。