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狛江のたぬき

東京都内で世田谷区の隣、決して凄い田舎とも言えない狛江市内にも、どうやらたぬきが生息しているようだ。

最初に、もしかして狛江にたぬきがいるのではないかと思ったのは、自分自身の目撃体験だった。多摩川近くの小道で、誰かの用意した餌に集まっている野良猫たちを見ていたら、突然、すうっと横から混じってきた一匹の「猫ではない動物」の影があった。そのときは夜だったので、見えたのはうっすらとしたシルエットだけだったものの、たぬきのような雰囲気で、他の猫たちも、「誰だ、君は」と反応に困っているように皆でじいっと眺めていた。僕が少し近づくと、警戒心が強く、そのたぬきらしい動物はさっと走り去ってしまった。

それから何度か、その警戒心の強いたぬきらしい動物を見かけることがあった。見かけるのは決まって夜だったので、夜行性のたぬきの可能性が高いのではないか、と狛江のたぬきの目撃情報を調べると、狛江の掲示板の二十年近く前の書き込みに、いくつかの目撃談が掲載されていた。多摩川沿いの公園や、市役所前、野川などで見かけることがあるみたいだ。狛江に住んでずいぶん経つが、新たな発見だ、と言っている人もいた。その人は、「狛江に空き地や、グランドがなくなっていくのは寂しい。少子化だからなのか、昔は本当に遊ぶ所がたくさんあったのになぁ。」と昔を懐かしんでいたから、狛江で育った人なのかもしれない。

最近でも、SNSでたぬきを見たという人はときどきいるし、人懐っこい様子を映している動画もあったから、相変わらず、たぬきたちは、この街のどこかで暮らしているのかもしれない。街中で隠れるように暮らすたぬきと言うと、『平成たぬき合戦ぽんぽこ』を思い出す。

その後、僕自身も、再び、明らかにたぬきらしい動物と出会った。そのときは親子で歩いていた。ハクビシンかもしれないが、たぶん、たぬきのような気がする。狛江のたぬきは、昔からこの辺りに生息していたたぬきの繋がりなのだろうか。狛江から少し行った川崎市の生田緑地にも、まだまだ野生のたぬきが存在することを示す看板が立っている。

餌がなくなって生田緑地周辺のたぬきたちが狛江まで降りてきているのだろうか。キツネを見た、という声も一つだけあった。どうやら昭和初期の頃までは、狛江の辺りにもたくさんのキツネが暮らしていたようだ。