夏頃の多摩川土手に咲くオレンジ色の花
多摩川の土手や河原を歩きながら、花の名前を調べていっている。
今回は、夏の土手に咲いていたオレンジ色の花だ。それほどたくさん見かけたわけではないが、7月初旬に歩いていたら、ぽつんぽつんと咲いていた。
多摩川の土手に咲くオレンジ色の花
花はオレンジ色で、花びらがちょっとくしゃっとしている。この花の名前は、藪萱草と言い、別名は忘れ草と呼ぶ。
藪萱草の「萱」は、「忘れる」という意味があり、忘れ草は、この花の美しさによって憂いを忘れる、または、美しい花だが一日で終わることなどに由来する。
忘れる、ということによって救われるものもあり、失われることによっていっそう輝く美しさもある。
似たような名前で、忘れな草という花もあるが、忘れな草と忘れ草は関係がない。
忘れ草(ヤブカンゾウ)の花は、切り取って花瓶に飾っても、先ほども触れたように翌日には萎んでしまうことから、切り花などには向かないようだ。
また、食べられる野草の一種で、芽吹いたばかりの新芽を茹でて酢味噌和えで食べたり、夏は蕾や乾燥させた花も食材として活用される(参照 : ヤブカンゾウの天ぷら)。
その他、漢方の世界では、根っこが利尿、涼血、消炎、止血薬として、膀胱炎や不眠症に用いられ、開花直前の花蕾は血尿や痔などに使用される。
ヤブカンゾウの開花時期は、7月、8月の夏季である。
ちなみに、ヤブカンゾウ以外にも、ノカンゾウやヒメカンゾウ、ハマカンゾウ、ホンカンゾウといった花もある(参照 : ノカンゾウとヤブカンゾウ)。