五月二十日、日曜日。快晴の空。多摩川から見た富士山は雪をかぶっていた。東京の最高気温が二十度くらいだったので、富士山では雪が降っていてもおかしくないのかもしれない、とは言え、一瞬驚いた。
それから、歩いていたら、蛇と遭遇した。久々に蛇を見た。狛江の多摩川沿いでは、ときどき蛇とも出会う。数羽の雀が空からアスファルトに降り立ち、可愛いな、と思いながら視線で追いかけたら、僕の視線を感じたのか、雀の横をするすると横切って逃げるように草陰に隠れていった。
先々週くらいに通りかかったとき、狛江駅からすぐ近くのTSUTAYAがもうすぐ閉店になると知った。
僕自身、ここのTSUTAYAはよく利用していたし、ふらっと立ち寄って音楽や映画のラインナップを眺めていることもあったので、閉店の貼り紙を見たときは残念だった。とは言え、正直映画離れやネット配信で見ることが多くなっていたことも事実で、時代の流れとしては仕方がないことなのかもしれない。
狛江駅のすぐ隣と立地がよかったことに加え、漫画のレンタルも行なっていたのでとても重宝していた。出入り口には、「二十年間ありがとう」という張り紙もあった。よくカップルや子連れの夫婦が一緒に作品を眺めながら選んでいる光景も見られたので、きっとあの場所にはたくさんの人たちの思い出も詰まっているのだろう。ちょっと前には、狛江駅南口の小さな古本屋が閉店、そしてTSUTAYAも閉店ということで、文化的に寂しくなるなと思う。
それから少し経ち、閉店直前に、再び店の前を通ったら、閉店セールが行われていた。店内に入ると、もうDVDのコーナーは空っぽで奥には入れないようになっていた。空っぽの棚が寂しかった。手前には、CDがアルバムもシングルも混在して棚に並び、どれも一枚百円だった。漫画コーナーでも、漫画が一冊二十円になっていた。物品も安く、イヤフォンやDVDプレイヤーがだいぶ割引されていた。
もう二度と訪れることはないし、何か一つ買おうかなと、漫画コーナーをうろうろと歩いた。せっかくだから読んだことのない、知らない漫画を選ぼうか。意外とここで選んだ漫画で、人生に大きな影響を与える言葉と出会えるかもしれない。そんなことを考え、タイトルや表紙を眺めながら歩いた。でも、閉店セールが始まってから一週間くらい経っているせいか、残っているものはあまりなく、結局何も買わずに店を出た。