キツツキの音

狛江には、野生の生き物がたくさんいる。東京でもこんな街があるんだな、と引っ越してから驚いた。前に住んでいた街では雀を見ることさえもあまりなかったから、通りを雀がぴょんぴょんしているだけでも和む。それから、これまで見たなかでは、狸(ハクビシンかもしれない)の親子、蛇、カブトムシ、鶯などがいた。

また、最近、多摩川沿いの公園を歩いていたら、コンコンコンと金槌で小さな釘を叩くような音が聴こえてきた。一瞬、誰かが日曜大工でもしているのかな、と思ったが、耳を澄ますと、音がするのは頭上からだった。よく見ると、木の太い枝にとまっている小さな鳥が枝をつつくたびにその音は鳴っていた。

木をつつく鳥。もしかして、キツツキなのかな、と思った。狛江生活のなかでも、今までキツツキは見たことがなかったので、こんなところにキツツキなんているのかな、と疑問だったし、その鳥がキツツキなのかもよく分からなかった。また、キツツキの木をつつく音は、結構大きく響くイメージだったが、僕が聴いたのは、囁きのような控えめで小刻みな音だった。

ただ、調べてみると、東京都内では世田谷区や狛江でも、キツツキの一種の「コゲラ」という鳥が見られるようだ。コゲラは日本で一番小さなキツツキで、体長は十五センチ。市街地から河川、森林などに生息しているそうだ。見掛けたのは、多摩川沿いの西河原公園という春は桜も綺麗で小さな池のある場所だった。

東京は都心から電車でちょっと行くだけでも、自然がまだ結構残っている場所がたくさんあるんだなと思う。