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関東のトカイナカ〜都会に近い、または東京に通える田舎〜
トカイナカとは
東京の喧騒やリズムの速い生活に疲れ、田舎暮らしがしたい、というシニア層や若者も増えている昨今。地方移住や、田舎暮らし、といった声をよく聞くようになった。
一方で、東京生活や都会の暮らしに慣れてしまっているため、実際に田舎暮らしをするとなると、環境の変化や人付き合いの苦労もハードルとなり、妥協してしまうケースも多いようだ。
そこで注目されているのが、自然が豊かな田舎で、東京など都会の職場にも割とすぐに通える、「都会に近い田舎」。
東京に限らず、都会と田舎のあいだを「トカイナカ」と呼び、密かな人気の移住スポットになっている。
トカイナカという言葉が、いつから言われるようになったのか分からないが、一般的には、都心から1時間〜1時間半ほどのエリアを指すと言われる。
このトカイナカないしは都会から近い田舎に住むメリットとしては、自然が豊かでのんびりした空気が流れ、子育てや心身のリラックスにもぴったりであること。その上で、東京など都会からもそれほど遠くなく、移動の他、おしゃれな店や買い物にも困らない、という点が挙げられる。
関東でおすすめのトカイナカや都会に近い田舎としては、神奈川県の藤野や千葉県の房総、埼玉の秩父といった「首都圏の田舎」が人気のようだ。
以下、注目を集めている、東京に通える田舎、都会から近い田舎についてざっくりと挙げてみたいと思う。
関東のトカイナカ
東京に通える田舎①「神奈川県・藤野」
東京に通える、あるいは、東京に近い田舎で注目の町の一つ目は、神奈川県の藤野町(今は相模原市に合併)。
藤野は、神奈川の北西端に位置し、相模湖のほとりにある長閑な町であり、町の人口は約10000人ほど。「森と湖と芸術の町」と呼ばれ、地産地消やエネルギーの自給自足など、人と自然の共生が進められている。
その暮らしや人に惹かれ、移住者も増加していると言う。
藤野は昨今、その自然や人に惹かれ、移住してくる人が多い地域としても有名になりつつある。藤野を拠点に「半農半X」な活動を展開している久保正英さんも、そんな移住者のひとりだ。
久保さんは、無農薬の自然栽培野菜を、友人や、友人の紹介者など身近な人たちに販売している。
これほど自然に溢れながら、近くに電車の駅もあり(JR中央線藤野駅)、東京の立川までわずか40分、新宿まで1時間ちょっとで到着する、というアクセスのよさも魅力となっている。
東京に通える田舎②「神奈川県・逗子」
逗子海岸(photo AC)
海沿いで暮らしながら、東京にも通える田舎町と言えば、鎌倉の隣町で人気の観光地としても有名な神奈川県の逗子が挙げられる。
逗子海岸は、地元の方々が散歩やジョギングをしているなど、のんびりとした時間が流れている。
海好きの人、サーフィンが趣味の人にとっておすすめの街で、おしゃれなカフェやレストランもあり、東京中心部にも電車で1時間、乗り換えなしで新宿に行くことができる。
神奈川県の人気観光地・逗子市のJR逗子駅。JR横須賀線の始発駅は久里浜駅ですが、逗子駅で車両が4両連結されるので座れる可能性が高まります。他に京急線の新逗子駅が利用可能。こちらも始発列車があります。
出典 : 都心まで始発に座って通勤可!自然豊かに暮らせるエリア7選@関東
東京に通える田舎③「千葉県・房総」
動画 : 【千葉県南房総市】移住・定住PR動画 ~七色の自然に暮らす~
千葉県の房総半島も、東京との距離が近く、職場が東京でも通える自然に溢れた地域として人気の移住スポットとして名前が挙がる。
東京から東京湾アクアラインで1時間ちょっと、南房総では、最近若者の移住相談も増加しているようだ。
年間約200件の移住相談が寄せられる千葉県南房総市の担当者は「近年は20代前半の相談が増えてきた」と話す。18年に開催した大学生対象の移住体験ツアーは、大半が東京都内の大学生だった。
南房総は、移住だけでなく二地域居住としてもおすすめのエリア(参照 : 馬場未織『週末は田舎暮らし』|二地域居住の体験談を綴った記録)。
東京に通える田舎④「埼玉・秩父」
シェアオフィスが整備されるなど、仕事をする環境も整いつつある「首都圏の田舎」として注目を集めているのが、埼玉県の秩父。
秩父となると、毎日の出勤は大変かもしれないが、池袋など東京都内にも電車で2時間以内で行けることから、リモートワークも駆使し、田舎暮らしをしながら、東京都心在住の友人との交友関係も継続したい人に注目のエリアとなっている。
東京都三鷹市から埼玉県秩父地域の横瀬町に移住した青木翔子さん(29)は昨年、武甲山の登山口近くでカフェを開業した。登山客向けの飲み物を買う場所やトイレがないことに気づき、自宅近くの建物を改装して週末限定で営業。登山帰りの人が多く立ち寄る。
「自然があふれ、手が加えられていないことが魅力。もっと主体的に生きたい」と2年前、武甲山のふもとに移住。カフェ前にある建物を改装して民泊も始める予定だ。「田舎でもビジネスの種は転がっている」とアイデアを膨らます。
田舎と言っても、意外に都会的な部分もあり、おしゃれなカフェやフレンチ、イタリアンなど、食事をするお店も充実している。秩父の地場野菜など、地元産の自然の恵みも手に入り、日常の生活に不便なことはない。
以上、東京に通える田舎として、よく名前を聞く関東の「トカイナカ」をいくつか挙げてみた。
賃貸マンション以外に、空き家情報も地域の役所で掲載され、また「空き家のメルカリ」として取り上げられた家いちばなどもあるので、移住希望の際はチェックしてみてもいいかもしれない。
番外編
最後に、せっかくなので番外編として、著者も住んでいる東京の狛江市も、「東京都心からもっとも近い田舎」としておすすめしたいと思う。
和泉多摩川駅からすぐの多摩川
狛江市は、東京23区の世田谷区の隣で、神奈川県の川崎市とのあいだにある小さな街(日本で二番目に小さい面積の市)だ。駅としては、主に小田急線の狛江駅と和泉多摩川駅がある。
散歩に最適な多摩川沿いのゆったりとした雰囲気、野菜の無人販売所があるほどののどかさや治安のよさも魅力と言える。
また、狛江から新宿まで電車で30分以内と、アクセスも抜群で、思いっきり田舎というわけでもなく、さりとて高層ビルが立ち並ぶような大都会でもない。特に食事する場所や買い物など日常に困ることもないし、下北沢などおしゃれな場所にも電車で割とすぐに行ける。
東京の片隅にある、程よく田舎、程よく都会の街。
東京都内でも、ちょっぴり静かな街に住みたい、という大学生やファミリーにもおすすめしたい場所だ。