星の見える東京

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ソラニン

『ソラニン』の舞台

『ソラニン』の舞台

ソラニンの世界

動画 : 映画『ソラニン』予告編

浅野いにおさん原作の漫画『ソラニン』は、東京の片隅、小田急線沿線にある狛江市の和泉多摩川駅周辺が舞台となっている。芽衣子と種田の暮らしたアパートや、語り合った河川敷、ボート乗り場なども実際にあり、この小さな町が、『ソラニン』の世界を形作っている。

漫画に登場する商店街や多摩川の細かな描写も、町の風景が描かれているので、実際に、この町をモデルにして描いたのだろうと思う。映画版『ソラニン』のロケ地としても、同じように和泉多摩川という町が使われている。

休日は少年から大人まで野球の試合が行われている

休日の多摩川

多摩川沿いを歩くと、東京とは思えないような、とても穏やかな景色が広がっている。冬には遠くに富士山が見え、春は桜の木々が弧を描くように伸び、風景が季節ごとの優しい色合いを見せてくれる。

東京は今日、
ちょっといい天気で、

いつものように
小田急線が走ってて、

多摩川では
恋人達が
ボートをこいでいた。

浅野いにお『ソラニン』より

ときおり、河川敷で映画やドラマの撮影をしている光景に遭遇する。色々な「ドラマ」のロケ地になる理由も分かる気がする。この町は、物語を注ぎ込める静かな余白で溢れているのだろう。

『ソラニン』の聖地巡り「アパート」

和泉多摩川には、主人公の芽衣子と種田が同棲しているアパート(芽衣子が借りている部屋)のモデルとなったであろうアパートが実際にある。彼らが暮らしていた古い二階建てのアパートは、和泉多摩川駅から歩いて少しの多摩川沿いにあり、映画でも舞台の一つとして使用されている。

『ソラニン』のアパート

この向こうに多摩川が流れる

漫画のなかでは、アパートだけでなく、アパート前の通りも克明に描かれている(番外編の「はるよこい」でも描写されている)。

さらっと情報を紹介するなら、部屋の間取りは1Kで、広さは洋室(フローリング)の6畳にキッチンが2畳。二階建てで、最寄駅の和泉多摩川駅からは徒歩3分。歩いてすぐの場所に多摩川がある。家賃は、僕が見たときは42000円で、この辺りの相場的には、少し安い方だと思う。

浅野いにおさんが、なぜこのアパートを舞台にしようと考えたのか、その理由は分からない。ただ、漫画と映画を見比べても部屋の間取りまで一緒ということは(映画はセットかもしれない)、漫画を描く前から、このアパートの室内の様子まで知っていたということだろう。

そう考えると、もちろんあらかじめ取材に行っていたのかもしれないが、もしかしたら以前浅野いにおさん自身か、近しい人が実際にこのアパートで暮らしていたのではないか、といった想像も膨らむ。

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ちなみに、浅野いにおさんの自伝的なニュアンスの濃い作品である『零落』にも、回想シーンに、多摩川らしき川と、和泉多摩川のような雰囲気の町が登場する。

画像 : 浅野いにお『ソラニン番外編「はるよこい」』

画像 : 浅野いにお『零落』

川沿いの白い大きなマンションが、『ソラニン』にも、『零落』にも描かれている。このマンションは、和泉多摩川の多摩川沿いの一つのランドマークになっている。和泉多摩川と、多摩川を隔てた向こうの町は、もう東京ではなく、神奈川の登戸になる。『零落』に描かれる川が多摩川だとすると、このシーンで描かれる町は登戸がモデルなのだろう。

やはり浅野さんは、多摩川と深い縁があったのかもしれない。

偶然だったとは言え、学生時代に自分が好きだった漫画の舞台になっている町に、今自分が住んでいるというのは、なんだか不思議な感覚になる。

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