多摩川の羽虫
多摩川の河川敷を歩くと、ときおり〈蚊みたいな羽虫〉が大量発生していることがあります。
心地よい風に吹かれ、ゆったりと座っていても、気づくと小さな羽虫の群れ。今日の多摩川沿いもまた、祭りでも始まったように大量の虫が羽化して舞っていました。
この虫の正体は、「ユスリカ」と言います。
ただ、「カ」と言っても正式には「蚊」ではありません。
だから、刺すこともなければ、基本的に人体に害もなく、寿命は数日で、交尾の相手を探し、川に産卵すると、まもなく死を迎えます。
個人的な感覚ですが、多摩川では、最近特に、このユスリカが周期的に大量発生しているような気がします。
ユスリカは、種類によって活動の季節が違い、多摩川で発生する種類は秋から春先にかけて羽化が始まるそうです。
多摩川河川敷に定めた定点においては、 土壌から採集されるユスリカ幼虫はSmittia aterrima(Meigen)だけであった。 本種は11月ごろから翌年3月ごろまで、周期的に大量羽化発生している。
ユスリカの大量発生は、「水質の悪化」が原因となって生じます。
一方で、その大量の幼虫のおかげで水質が浄化されるので、決して悪いことでもありません。また、あまりに水質が悪すぎると今度は一切発生しなくなります。
そういった理由から、ユスリカは水質を計る一つの目安にもなっています。