ひっそりとほころぶ梅の花
年明けから数日は、普段の冬服だと汗ばむくらいの陽気だった。3月並みの気温だったらしく、それから一転して冷たい雨が降り、寒さも厳しく、手がかじかむ。
雨が上がると、雲間から白い光が射し込み、光の向こうに立っている木々のつぼみが幾つかピンク色の花を咲かせていた。
鳥たちは活発に枝と枝を飛び交い、水たまりを弾くような清らかな鳴き声がひときわ輝きだす。
虫の苦手な女の子が、「私には見える、奴らはうごきだした」と落ち込んでいた。一月の、ほんのりと春の訪れを匂わせる光景だった。