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狛江と和泉多摩川の住みやすさ

新宿から電車で30分ほど、東京都内で都心から少しだけ離れた小田急線沿線にある狛江こまえ市。僕は、この街に住んでもう5年以上になります。

どこにあるの、と思う人もいるかもしれません。僕も、正直な話、東京に住んでいながら狛江という地名を知らない期間も長かったです。

狛江は、東京の世田谷区と神奈川の川崎市という二つのビッグタウンに挟まれた、日本で二番目の面積の小さな街で、小田急線の狛江駅と和泉多摩川駅が主な最寄駅となります。

狛江に住んでみて思うのは、この街は静かで住みやすく、多摩川の自然も豊かで、今も変わらず大好きだ、ということ。

そこで、この記事では、狛江や和泉多摩川の住みやすさについて、一住人の視点から個人的な感想を紹介したいと思います。

街の住みやすさに関して重視する点は人それぞれで違うので、ここでは、僕がなぜこの街が好きなのか、という点から、狛江や和泉多摩川の魅力を書いていこうと思います。

①多摩川の景色

まず、なんと言っても、狛江や和泉多摩川に住んでよかったと思う点が「多摩川」です。

多摩川の夕陽

和泉多摩川駅から歩いてすぐをゆったりと流れる多摩川。物静かな茜色の夕陽。川面の上を鳥の影が通り過ぎていく光景。

春には桜も綺麗で、鳥たちの鳴き声も聴こえ、ツバメが飛ぶ練習をし、冬は遠くに富士山が見えるなど、四季折々の自然を堪能できます。

また、多摩川は、自然だけでなく、釣りをしているおじさんや休日の野球少年たちがのどかな風景をいっそう優しく穏やかなものにしてくれる。

初めて多摩川を見たときは、東京都心からそれほど離れていない場所に、こんなに素敵な空間があるんだと感動しました。

東京で一人暮らしをしていると、寂しいときもあると思いますが、そんなときには、多摩川の美しく優しい風景が静かに寄り添ってくれると思います。

狛江の多摩川は自然と人工のバランスが絶妙で、こういう空間が日常の隣にあることが、この街の住みやすさに繋がっていると思います。

②のどかで、治安がいい

住みやすさを考える際に、治安を重視する人もいると思います。

狛江は、先ほど紹介した多摩川も含めた、のんびりしたのどかな雰囲気とともに、街の治安がいいという点も魅力です。

狛江駅や和泉多摩川駅は、駅前でも一分一秒を争うような足早なせわしなさはそれほど感じません。

古くからの一軒家も多く、ときどき畑や野菜の無人販売所があったり、夜にランニングをしている住民もいます。

街の景観や街並みと相まった治安のよさも、狛江の大きな魅力の一つだと思っています。

③新宿まで30分圏内

狛江の魅力の三つ目としては、新宿まで30分圏内で着く、という東京都心へのアクセスのよさがあります。

小田急線は、狛江や和泉多摩川では急行は止まりません(狛江駅は2018年春から準急が停車するようになった)が、成城学園前で急行に乗り換えると、計約20分程度で新宿に着きます。

また、音楽や古着、雑貨屋などが好きな人にとっては、下北沢まで小田急線一本で15分ほどなので買い物も割と近くで充実しているし、カラオケやボーリングといったレジャー施設も数駅圏内にあります。

狛江駅から、二駅隣の登戸駅(和泉多摩川駅からは徒歩でも20分くらいで行ける)まで行ってから南武線を利用することで、川崎や立川方面に出ることもできます。

また、東京都内で世田谷の隣という好立地にも関わらず、狛江は「家賃が安い」というのも魅力の一つです。

同じ東京でも、世田谷から狛江市内に入った途端に家賃相場がストンと下がる。

狛江市の小田急線の最寄駅と言うと、主に喜多見、狛江、和泉多摩川ですが、この駅の賃貸物件は、ワンルームなら6万円以下で、5万円、4万円代という物件も結構あり、一人暮らしでもおすすめです。

④日用品がおおむね揃う

狛江や多摩川沿いと言うと、田舎のイメージもあるかもしれない。しかし、閑静な住宅街なので店自体はそこまで多くないものの、食材や家具といった日用品は十分揃います。

食材については、喜多見、狛江、和泉多摩川、それぞれの駅の近くにスーパーが開店しているし、もちろんコンビニもあります。

また、有機野菜やオーガニックなどの自然食品の店、雑貨屋や本屋なども狛江駅のすぐ近くにあり、数駅行けば、経堂の文房具雑貨が揃うハルカゼ舎や、向ヶ丘遊園のSunnyDaysなどおすすめの可愛い雑貨店もあります。

狛江駅から徒歩20分ほどの場所には、ユニディという大型のホームセンターもあり、家具や趣味の道具も一通り手に入れることができます。

狛江や和泉多摩川に住んでいることで、日常生活の買い物に困るといった心配は全くありません。

⑤花火が見える

最後に、狛江や和泉多摩川の魅力として、花火大会を挙げたいと思います。

花火大会というのは、季節にかぎったことで直接の住みやすさに繋がっているわけではありませんが、和泉多摩川の多摩川沿いからいくつかの花火大会を見ることができます。

この多摩川から見える大きな花火大会は主に二つあり、一つが、二子玉川駅周辺で打ち上がる「世田谷区たまがわ花火大会」、もう一つが、調布駅の「映画のまち 調布”夏”花火」です。

花火大会は、決してすぐ近くで見えるというわけではありませんが、遠すぎるということもなく、静かに見るにはちょうどよい距離感です。

また、数年に一度、狛江の多摩川河川敷でも狛江花火大会が開催されます。

この花火大会が、意外と大きな花火も打ち上がり、ひっそりと行われる、穴場中の穴場の花火大会でもあるので、それほど混まずに近くで見ることができます。

狛江の和泉多摩川駅周辺は、漫画『ソラニン』の舞台となった場所としても有名で、河川敷では、ときおりギターやトランペットで楽器練習をしている人もいます。

また、映画のロケ地となっていることもあるようですが、それも含めて特に騒々しいということもなく、静かな時間が流れている住みやすい場所だと思います。

都会は疲れるけれど都心部に学校や会社があるという人には、狛江や和泉多摩川は「ちょうどいい」んじゃないかな、と思います。

映画『ソラニン』のロケ地

大学時代から好きだった漫画に浅野いにおさんの『ソラニン』がある。映画もあり、どちらのよさもある。

ソラニンの映画版では、小田急線沿線にある狛江市の和泉多摩川駅周辺がロケ地として使われ、芽衣子と種田の暮らしたアパートや語り合った河川敷、ボート乗り場など、この小さな町がソラニンの世界の舞台になっている。

原作の漫画版に出てくる商店街や多摩川の描写も、この和泉多摩川の景色と一緒なので、浅野いにおさんもこの町をモデルにして描いたのだと思う。

多摩川沿いを歩くと、東京とは思えないような、とても穏やかな景色が広がっている。冬には遠くに綺麗な富士山が見え、春は桜の木々が弧を描くように伸び、風景が季節ごとの優しい色合いを見せてくれる。

東京は今日、
ちょっといい天気で、

いつものように
小田急線が走ってて、

多摩川では
恋人達が
ボートをこいでいた。(浅野いにお『ソラニン』)

ときおり、河川敷で映画やドラマの撮影をしている光景に遭遇する。色々な「ドラマ」のロケ地になる理由も分かる気がする。

都心から近いというのもあるだろうし、なによりここは、物語を注ぎ込める静けな余地があるのだと思う。

多摩川の貸しボート屋としゃぼん玉

登戸と狛江のあいだを流れる多摩川に架かっている多摩水道橋。ちょうどこの橋の真ん中辺りが、東京と神奈川の県境にもなっている。もうすぐそこが登戸だ。

この辺りは、橋が架かる以前は、もともと「登戸の渡し」と言われる渡し舟があったそうだ。しかし、昭和2年の小田急線開通で渡し舟の利用者は激減、さらに昭和28年には歩道と車道の橋も架かったことで同年、登戸の渡しは廃止になる。

この渡しは、数ある多摩川の渡し舟のなかでも、割と遅くまで残っていた区間だったようだ。

以前、狛江市内の小さなギャラリーで開かれた多摩川に関する浮世絵展では、府中の渡し舟の様子が描かれた絵(葛飾北斎「富嶽三十六景 武州玉川」)も飾ってあった。

この渡し舟の廃止後、今では、漫画『ソラニン』でも描かれている貸しボート屋が営まれている。

この貸しボート屋「たまりや」のおじさんは、もともと渡し舟を営んでいた家の方だと言う。

狛江がまだ農地ばかりだった昭和17年、谷田部靖彦さんは多摩川の「渡し」を営む家に生まれました。以来、多摩川と共に人生を歩んできた谷田部さん、鉄道や橋が開通し、渡しが役割を終えた後は都心からやってくる水遊びの人々のために五隻の船から貸しボート屋を始めました。(WEST TOKYO 仕事図鑑 VOL.05 貸しボート屋)

登戸側にも「のんきや」という貸しボート屋さんがあったが、街の開発工事のため店を閉じることになってしまったと言う(その後、「たまりや」も主人が亡くなり、今はもう貸しボート屋さんはなくなっている)。

橋は、老朽化もあり、新たな架橋がつくられ、現在の多摩水道橋になったのは2001年のこと。

その橋を、和泉多摩川から撮った最近の様子。この辺りは、カメラを持って撮影している人もときおり見かける。

今では、登戸も電車はもちろん歩いても割とすぐの距離にあるが、橋がなかった頃は、「対岸」というのも気分的に遠いものだっただろうなと思う。

ちなみに、この多摩水道橋の和泉多摩川側に、座って休めるちょっとした休憩所がある。自転車で長い距離を走ってきた人や、散歩中のおじいさんおばあさんが休憩スポットとして活用していることが多いようだ。

この休憩所に屋根がついているのだが、最近ふと、屋根の上にある小さなモニュメントのようなものを発見した。

麦わら帽子をかぶった幼い少年が、多摩川の空に向かってしゃぼん玉を飛ばしている。5年以上住んで、初めてその存在に気づいた。