台風一過の多摩川

風を「怖い」と感じたのは、数年前、海から割と近い街に住んでいた頃に味わった台風以来のことだった。

昨夜は、幾度も突風がマンションを揺らし、まるで巨大な怪物が練り歩いているようで、しばらく眠ることもできなかった。遠くでは、サイレンの音が不気味に響いていた。竜巻注意報が発表され、深夜には停電もあったようだ。風の音を聴きながら、ひょっとして次々家が根こそぎ持っていかれるのではないか、というアニメのような映像が浮かび不安だった。だから、朝、玄関の扉を開けて街がそのままそこにあることに、「偉いなぁ」と感動さえ覚えた。

道端には、疲れ果てたように枝葉やどんぐりの実が散乱していた。狛江駅前の弁天池の緑地保護区では、台風の影響でぽっきりと樹木が折れ、寄りかかるように倒れ込んでいた。少し胸が痛くなった。近所の金木犀もすっかり散ってしまっただろうな、と思っていたが、まだひっそりと花を咲かせ、優しい匂いを漂わせていた。

今日は台風一過で晴れ渡り、予想では気温も三十度を越える真夏日になると言う。

秋の色

徐々に日々が秋の色になってきた。秋の虫たちが鳴き、川沿いの土手にはちらほらと彼岸花が咲いていた。あとは秋雨を越えたら秋も本格化。夏はいっぱい断捨離したので、部屋もすっきりして穏やかな心地で秋を迎えられそうだ。

夏と秋のはざまの多摩川河川敷

この一週間くらい、涼しくなったと思ったら揺り戻しのように暑くなったり、ということを繰り返している。ちょうど夏と秋のはざまの世界を漂っているみたいだ。夏の空気のなかを秋の風がときおり吹き抜けていく。