多摩川と浮世絵

狛江駅近くの泉の森会館という小さなギャラリーで、江戸時代の多摩川の風景や日常の様子を描いた浮世絵の展覧会「浮世絵にみる多摩川と武蔵國の記憶」があり、先日、この展覧会に行ってきた。冬のような冷たい雨の降る日だった。

展示作品は、歌川広重、歌川国貞、歌川国芳、喜多川歌麿、葛飾北斎らの描く江戸時代の浮世絵や、明治以降の小林清親や川瀬巴水の版画で、「多摩川」というテーマを軸に、計三十二点が飾られていた。

喜多川歌麿「風流六玉川 武蔵」 一七九八年頃

葛飾北斎「富嶽三十六景 武州玉川」 一八三〇年頃

歌川広重「東海道五拾三次 川崎 六郷渡舟」 一八三三年頃

川瀬巴水「東京二十景 矢口」 一九二八年

多摩川を描いた作品を見ていると、当時の人々の生活が、多摩川と密接に結びついていたことがよく分かる。展示会のスペースは一部屋で、決して作品の点数も多くはなかったものの、それほど混雑することもなく、ゆっくりと見ることができた。