昨日、東京で久々の大雪だった。横断歩道の信号待ちのあいだ、次々と降り落ちてくる雪をしばらく眺めていた。それから、歩いていたら、どこからか鳥の鳴き声が聴こえてきた。なんという名前の鳥か分からないが、雪の降る日でも鳥は鳴くんだな、というのは発見だった。
この辺りでは、雪はあまり降らない。春がくれば桜は必ず見られる。他の地域から苗木を持ってくることもできる。でも、雪は違う。雪は、もちろん旅行や引っ越しで雪国に行くことはできたとしても、もしなんらかの事情で行けないようなら、縁がないと見ることができない。雪の降る木を持ってきて、庭や河川敷に植えるわけにもいかない。雪は、ただ受け身で待っている以外にない。
一生で一度も雪に触れないまま、という人もいるし、いつが人生で最後の雪になるか予想もつかない。友人関係でもあるような、「ああ、思えばあれが最後だったか」というのと似ている。雪の気まぐれや運命のいたずらで、もしかしたら、もうこの先ずっと出会えないかもしれない。