『君の名は。』タイトルの最後の丸の意味
なぜ、タイトルに丸がつくのか
あるとき、『君の名は。』を観た友人から、「なぜタイトルの最後に丸がついてると思う?」と尋ねられた。
なぜ、『君の名は』ではなく、『君の名は。』なのか、という疑問だ。
僕にとって「丸」は、深く考えることもなく、あって当たり前の存在で、『君の名は。』以外にはありえないと思っていたので、その「なぜ」について思わず考え込んだ。
そして、「『君の名は。』のタイトルの最後に丸がついている理由」に関する、僕なりにたどり着いた結論は次のようなものだった。
それは、「疑問」の余地のない「確信」だから、というものだ。
劇中、「君の名は?」と何度も問いかけるシーンがある。しかし、「私たちは、会えば絶対、すぐにわかる」という台詞もあるように、最後は、すでに名前を知っている。
君の名前に、確信を持っている。
これが、疑問系の余地を残した『君の名は』ではなく、『君の名は。』にした理由なのだと思う。
英語版のタイトルが、「What’ your name?」ではなく、「Your name.」になっているのも、恐らくそうした意図があったからなのだろう。
新海監督の語る「丸の意味」
一応、この『君の名は。』というタイトルの最後の丸の意味について、新海誠監督自身はどのように語っているのかも調べてみた。
すると、新海監督は、以前インタビューのやりとりで次のように語っていた。
吉田:「君の名は。」って最後に丸がついているじゃないですか。たぶんそこもすっごい考えたんだろうなと思って…。
新海:はい、色んな意味を自分なりには、込めました。
吉田:僕が考えたのは「君の名は?…」って普通疑問形だと思うんですが、丸がつくと、疑問形ではなくなる…。なにもなしか、もしくはクエスチョン付けると「Who are you?」になる…。でも「君の名は。丸」にすると「I know your name」あなたの名前は知ってる、が言わない…。
田所:ふぅ〜〜〜ん
新海:その意味合いもあるし、劇中で様々な意味で繰り返すんですけど「Who are you?」の意味でも言うし、「I know your name」の意味でも言います。またあるいは、君の名はって言葉の次に断絶しちゃう瞬間もあるし、そのあとから始まる瞬間もある。
あるいはその、自分自身の個人的な気持ちで言うと、ここで一旦自分のやってきたことの区切りをつけるんだって気分もあったかもしれないです。ここで丸なんだと…。次また違う方向で何か手繰り寄せたいって気持ちもあったし…そんな部分をたくさん、考えながら、はい、付けました…。
やはり、最後の丸には、断定の意味合いが込められていたようだ。
加えて、自分自身(主人公自身?)の一区切りのニュアンスもあったかもしれない、と監督は言う。「ここで丸なんだ」と。
力強い「。」というタイトルの締めくくりもまた、この作品の感動を引き立てる大きな一因になっているのだろう。