多摩川沿いの桜を見ていたら、普通の桜がずっと並んでいるなかに、一本だけ不思議な桜があった。淡い桃色のような白い色の桜の花に、ぽつんぽつんと赤い花が混ざっている、二色の桜だ。
こういう風に紅白に咲くことを「源平咲き」と呼ぶそうだ。源平咲きという名前は、源氏の旗が白、平氏の旗が赤であったことに由来し、基本的に桜ではなく桃や梅、椿などに見られると言う。特に、源平咲きはハナモモという桃の花で見られ、桜では、可能性として存在の否定はできない、という程度のようだ。
もしかしたら、この花も、桜ではなく、梅や桃の類なのかもしれない。源平咲きは、人為的に接木したわけでもなく、突然変異らしく、未だに仕組みは分かっていない。また、源平咲きと言うと、主に赤い花のなかに白い花が少し混じるというもので、白い花に赤い花が混じるということはないようだ。
でも、写真にもあるように、僕が見た二色の花は、白い花が主で、そのなかに赤い花が混じっていた。二色の花が咲いていたのは、登戸の多摩川沿いの土手を二ヶ領用水に向かって歩いていく途中で、この辺りは綺麗に桜が並んで咲いているから、てっきり桜だと思い込んでいたし、特徴を見ても、桜のような気がする。
ただ、源平咲きの桜は知られていない上に、「白色系統の木」に「赤い花」が咲くことはない、ということなので、一体この二色の花が、桜なのか、桃なのか、僕にはどうにも分からなかった。