狛江の家から初詣に歩いて行ける神社を探し、見つかったのが、喜多見の氷川神社。氷川神社は、創建が七四〇年と伝えられているが、室町時代の洪水で古文書が流失し、詳しいことは分かっていない。もともとは多摩川沿いにあったと言う。
氷川神社の付近は、閑静な住宅街だが、二階建ての家々が数多く立ち並び、遠くから見える目印になりそうな建物もないので、まるで迷路や人工の樹海のように入り組んでいる。よほど土地勘がないかぎり、地図を失ったら厳しいことになる。僕も、迷子になって行きも帰りもしばらく途方に暮れていた。
入口がちょっと分かりづらいかもしれないが、二ヶ所あり、鳥居のある正面は狛江や和泉多摩川駅から歩いて行った場合、ちょっと奥側になる。
僕が行ったのは二日の正午過ぎだったので、ほとんど混雑することはなく、待ち時間も五分だったが、ピークの時間は昼の一、二時くらいらしく、確かに僕の帰り際には徐々に人も増えてきていた。天気にもよるものの、元日になると参道のほうまでずっと並ぶことになり、三時くらいから混雑も緩和していくようだ。
氷川神社境内は思っていたよりも広く、パワースポットと言われるのも分かるくらい木々も生い茂り、神聖な空間だった。初詣は毎年欠かさず行っているわけでもなく、作法などもすっかり忘れてしまったので、前の人の様子をよく観察しながら参拝した。