夏に「クークー、クックー」「ホーホー、ホッホー」と鳴く鳥

夏頃になると、どこからともなく聴こえてくる「クークー、クックー」という鳥の鳴き声。

この鳴き声の音色を、「クークー、クックー」という文字で表していいのか分からない。少なくとも、僕には、「クークー、クックー」と鳴いているように聴こえる。他にも、「デーデー、ポッポー」「トートー、トットー」「ホーホー、ホッホー」「ドードー、ポッポー」と聴こえる人もいるようだ。

どれも言われてみれば間違っていないような気もする。

この鳴き声の鳥はなんて名前なんだろうなと思ってYouTubeを調べてみたら、「キジバト」という鳩の一種だと分かった。

キジバトは別名ヤマバトとも言い、割とどこにでもいる鳩で、昔は田舎に生息していたものの都会でも見られるようになったようだ。

この鳴き声は、繁殖期(ピークは8月〜10月)に相手を求めて鳴くさえずりや、縄張りを主張するときの声だと言う。

都心で一般的によく見る灰色の鳩はカワラバト(ドバト)で、キジバトとは鳴き声だけでなく見た目も違う。

キジバト(Photo AC)

カワラバト(photo AC)

この鳴き声も鳩かなとは思っていたが、よく餌欲しさに寄ってくるあの鳩はカワラバトで、あのよく耳にする鳩はキジバトと、違いが分かってすっきりした。

映画『ソラニン』のロケ地

大学時代から好きだった漫画に浅野いにおさんの『ソラニン』がある。映画もあり、どちらのよさもある。

ソラニンの映画版では、小田急線沿線にある狛江市の和泉多摩川駅周辺がロケ地として使われ、芽衣子と種田の暮らしたアパートや語り合った河川敷、ボート乗り場など、この小さな町がソラニンの世界の舞台になっている。

原作の漫画版に出てくる商店街や多摩川の描写も、この和泉多摩川の景色と一緒なので、浅野いにおさんもこの町をモデルにして描いたのだと思う。

多摩川沿いを歩くと、東京とは思えないような、とても穏やかな景色が広がっている。冬には遠くに綺麗な富士山が見え、春は桜の木々が弧を描くように伸び、風景が季節ごとの優しい色合いを見せてくれる。

東京は今日、
ちょっといい天気で、

いつものように
小田急線が走ってて、

多摩川では
恋人達が
ボートをこいでいた。(浅野いにお『ソラニン』)

ときおり、河川敷で映画やドラマの撮影をしている光景に遭遇する。色々な「ドラマ」のロケ地になる理由も分かる気がする。

都心から近いというのもあるだろうし、なによりここは、物語を注ぎ込める静けな余地があるのだと思う。

狛江ときつつき

狛江には野生の生き物がたくさんいる。東京の都心からそれほど離れていない地域でもこんな場所があるんだなと驚くほどだった。

前に住んでいた街では雀を見ることさえもあまりなかったから、通りを雀がぴょんぴょんしているだけでも和む。それから、これまで見たなかでは、たぬき(ハクビシンかもしれない)の親子、蛇、カブトムシ、うぐいすなどがいる。

また、最近多摩川沿いの公園を歩いていたら、コンコンコンと金槌で小さな釘を叩くような音が聴こえてきた。一瞬、誰かが日曜大工でもしているのかなと思ったけれど、耳を澄ますと、音がするのは頭上からだった。

よく見ると、木の太い枝にとまっている小さな鳥が枝をつつくたびにその音は鳴っていた。

木をつつく鳥。もしかして、きつつきなのかな、と思った。狛江でも、今まできつつきは見たことがなかったので、こんなところにきつつきなんているのかなと疑問だったし、その鳥がきつつきなのかもよく分からなかった。

また、きつつきの木をつつく音は、結構大きく響くイメージだったけれど、僕が聴いたのは、囁きのような控えめで小刻みな音だった。

ただ、調べてみると、東京都内では世田谷区や狛江でも、きつつきの一種の「コゲラ」という鳥が見られるようだ。

コゲラは日本で一番小さなきつつきで、体長は15センチ。市街地から河川、森林などに生息しているそうだ。見掛けたのは多摩川沿いの西河原公園という春は桜も綺麗で小さな池のある場所だった。

あの木をつつきながらコンコンコンと鳴っていたのは、コゲラだったのかなと思う。